特に予定もなかった12月最初の週末。
そんな日はこち亀の78巻でも読みながらのんびり過ごそうかと思っていたのですが、髭茶髪さんからキャンプのお誘いを頂いたので有難く参加させてもらうことになりました。
場所は我々のお気に入りキャンプ場のひとつである印旛沼サンセットヒルズ。
このブログでは度々登場するキャンプ場なのでご存じ方も多いと思いますが、印旛沼が一望できる印旛沼側サイトやバス停が真横にあるバス停側サイトなど非常にバラエティに富んだキャンプ場なのです。
私が到着したのは11時を少し過ぎた頃だったでしょうか。
すでにそうパパさんと髭茶髪さんは幕も張り終えてくつろいでいるところでした。
見事にピンと張られているヒルバーグとMSRはもちろんそうパパさんの幕。
髭茶髪さんの幕はどこにも見当たりませんでした。
この日の印旛沼サンセットヒルズは天気も良好♪
印旛沼を一望できる景色が広がっており、夕方には綺麗なサンセットも拝めることでしょう。
しかし私はいつまでも景色に見惚れている訳にはいきません。
なぜなら髭茶髪さんに、頼まれていた3本のげん骨を手渡さなければならなかったからです。
…最近の私は髭茶髪さんと会う度にげん骨を渡している気がします。
髭茶髪さんは私からげん骨を受け取ると、まるで水を得た魚のようにキャンプ用ハンマーでげん骨を叩き割り始めました。
ゴキッ! バキャッ! ゴッゴッゴッ…
時折、微笑みさえ浮かべるその表情はもはやちょっとしたサイコパスです。
元々、この日はねぶり会ではなく、ただ普通にそうパパさんと3人マッタリとキャンプを楽しむ予定だったはずなのです。
しかし頭の中は常にラーメンで一杯の髭茶髪さん。
「前回不正をしてしまったリベンジをさせて欲しい」と髭茶髪さんから直々の申し入れがあり、急遽、髭系ラーメンを作ることになったのです。
幸か不幸か、巻き添えをもらう形で一緒に髭系ラーメンを食べることになってしまったそうパパさん。
これから数時間後、生まれて初めて体験するであろう毒の味に、彼は一体何を語るのでしょうか。
そしてげん骨を割り終えた髭茶髪さんは、一通りの具材をいつもと違う見慣れない形の鍋へと投げ込んでいきました。
今回は秘密兵器を用意してきたと語る髭茶髪さん。
その正体はこれだったようです。
圧力鍋。
数時間煮込み続けて失敗するリスクを恐れた髭茶髪さんは、ガチの圧力鍋を印旛沼に持ち込んできてしまったようです。
ぴゅーーーーーーーーーーーーー
ぴゅーーーーーーーーーーーーー
キャンプ場に鳴り響く家庭用圧力鍋の空気音。
その数メートル先では、ファミリーキャンパーが子供達と楽しそうに小枝を拾い集めてバーベキューの炭を熾す準備をしています。
もはやベテランキャンパーとしての見栄やプライドを捨て去った髭茶髪さん。
彼は今、どんな気持ちで圧力鍋の空気音を聞いているのでしょうか。
一応誤解を招かないように言っておきますが、圧力鍋をキャンプ場で使用する事自体は何ら問題ないと思っています。
むしろとても便利かも知れませんね♪
私が問題視しているのは、髭系ラーメンを作る上での圧力鍋の使用です。
例え失敗するリスクがあったとしても、全身全霊で長時間かけて作る一杯だからこそ魂が宿るのです。
私は髭系ラーメンに対して、味よりも大事なものを忘れて欲しくないと思っています。
例え毒だと分かっていても、髭茶髪さんの誇りと魂が宿っている一杯だからこそ私も飲み込む覚悟ができるのです。
ついつい熱く語ってしまいましたが、今回の髭系ラーメンが圧力鍋まで使用して万が一でも不味かった場合、私は魂すらも宿っていない100%ただの毒を食べることになってしまうのです。
そして市販の醤油ダレを使用してしまった前回の不正を心から悔いたと語る髭茶髪さん。
今回はちゃんと自分の手で一から仕込んできたという髭系醤油ダレを家から持参していました。
ただ実際に作っているところを見てはいないので、もしかしたらこの容器に入っているのがまんまマルちゃん鶏ガラスープかも知れません。
まぁ、もし本当にそんなことしていたら、彼は完全な悪人ですけどね(笑)
しかし私がこれまで見てきた髭茶髪という男は、そこまでの不正は絶対にしないと断言できます。
前回の不正も負けたくないという純粋な気持ちから生まれたほんの一瞬の出来心だったはずなのです。
なのでここは髭茶髪さんの言葉を信じることにしました。
もちろん今年最後となる麺上げにそなえてイメージトレーニングも欠かしません。
左右に小刻み身体を揺らし、麺のどんな動きにも直感で反応できる神経を養います。
ブログで知ってはいましたが、予想以上に本気な髭茶髪さんの姿にそうパパさんも全力で応援。
「これで美味しくないラーメンができるはずがない!」と太鼓判を押していました。
そんなそうパパさんから焼き鳥の差入を大量に頂きました。
業務スーパーの焼き鳥だそうですが、町内の祭りでよく食べる焼き鳥のように柔らかくて美味しい!
さらに炭火で焼くとこおばしくなって美味しさUP♪
業務スーパーは大当たり商品と大外れ商品が存在すると私は思っているのですが、これは間違いなく大当たりの部類だと思います。
さらにそうパパさんは、髭茶髪さんが持ってきてくれたサンマも最高な焼き加減に仕上げてくれました。
サンマの匂いを嗅ぎつけたのか、個人的にはもはや印旛沼サンセットヒルズの公式マスコットとも呼べる野良猫ちゃん達も集まってきます。
そうパパさんはかなり気になったようで、彼なりの愛情表現でね野良猫ちゃん達と戯れていました。
そうこうしているうちに、あっという間にスープも煮込まれてきたようです。
圧力鍋の実力はやはり大したものですね。
しかし私は認めませんし、家系総本山の吉村家直系で杉田家オーナーである津村氏も圧力鍋だと自分の求める味にはならないと過去にインタビューで語っています。
そしてお待ちかね、髭系ラーメンの源である手羽先の登場です。
ねぶり会に入会してからというもの、我々の手羽に対する扱いは以前とまるっきり変わってきており、いまや神々しさまで感じるようになってきてしまっています。
このままではいつか食べる前に手羽先の前でひざまつき、一礼を捧げる日がやってきてしまうかも知れません。
万が一でもそんな日が来てしまった時、我々はこの集いをねぶり会からねぶり教へ改名しようと思います。
そうしてじっくり丁寧に真心こめて焼き上げた手羽先。
仲良く3人で頂くことにします。
「クチュ… クチュチュ…」
今回、初ねぶりとなったそうパパさん。
若干18禁とも思えるねぶり音と、縦笛型のツーフィンガーという個性溢れるねぶり構えを披露しており、なかなかのセンスを感じます。
その隣では、髭茶髪さんが新ねぶり構えとなるハーモニカ型を初披露していました。
さすが日本三大ねぶリストの1人と呼ばれるだけあり、いくつになっても探求心は変わらないようです。
ただ一つだけ言わせてもらうと、私は残り2人のねぶリストがどこにいるのか見たことも聞いたこともありません。
そしてこれが2017年のねぶり納め。
髭茶髪さんは目を閉じながら、今年最後の1本をいつまでもいつまでもねぶり続けていました。
こうして生成された今年最後となる大量のねぶり骨を、、、
豪快に躊躇なく鍋に流し込んでいきます。
ねぶり骨を入れることによって鍋から一気に泡が立ちはじめ、クリーミーかつシンパシーな奇跡のトリプルスープが完成するのです。
髭茶髪さんは「全国に何百何千というラーメン屋があれど、この奇跡のトリプルスープを作れるのは日本で俺だけだ」と豪語します。
まぁ、確かにお店でこんなラーメン出そうものならすぐに保健所へ通報されるでしょう。
日暮れと共に気温も一気に下がっていきましたが、そうパパさんが武井バーナーを華麗に点火してくれたので助かりました♪
次第に辺りは暗くなり、印旛沼にも綺麗な夕日が落ち始めていきます。
それでも髭茶髪さんの仕込みに安息はありません。
私が用意してきたチャーシューを自家製醤油ダレで漬け込み始めます。
髭系ラーメンには欠かせない鶏油も抜かりありません。
この鶏油を奇跡のトリプルスープに浮かべることで旨味が化学反応を起こし、髭系スープにコクと深みが生まれるのです。
奇跡のトリプルスープも圧力鍋のおかげであっという間に乳化されていき、すでにほぼ完成という状態にまでなっていました。
しかしいくら圧力鍋で時短となっているとはいえ、ほとんどノンストップで仕込み続けている髭茶髪さんの家系愛にも頭が下がる思いです。
そんな頑張っている髭茶髪さんへ神様からのご褒美なのか、見事な印旛沼サンセットを拝むことができました(^^)
ただ髭茶髪さんは夕日よりも、圧力鍋を照らし出すジェントスライトの方が気になるようです。
彼の髭系ラーメンにかける熱意に一瞬の気の緩みもありません。
圧力鍋から聞こえるわずかな煮立ち音を聞き、スープの乳化具合を調整していく様はもはや職人技としか思えないレベルです。
しかし繰り返し言っておきますが、それでも彼はこれまでに人間が口に入れていいラーメンを作れた例が一度もありません。
さらに神様は時に残酷なもの…
ここまで頑張ってきた髭茶髪さんに、最大の試練が訪れます。
それは仕込みを終えて三人でくつろいでいる時、、、
手間暇かけて作った鶏油と長時間漬けておいたチャーシューが、、、、
すべて野良猫に食われてしまったのです(笑)
あまりのショックで何が起こったのかすぐに理解できず、呆然と立ち尽くす髭茶髪さん。
その後、怒りと悲しみに震えていたのは言うまでもありません。
しかし幸か不幸か、なぜか奇跡のトリプルスープだけは一滴も飲まれずに残っていたので、鶏油とチャーシュー抜きの髭系ラーメンを作ることになりました。
そんな髭茶髪さんに私は豚バラを焼いて慰めます。
そしてしばらくの間、そうパパさんと髭茶髪さんと私の3人は、色々なラーメン話に華を咲かせました。
特に盛り上がったのは家系直系と並び称され熱烈なファンを全国に擁するラーメン二郎話です。
私も好きであり、二郎京成大久保店には幾度となく足を運んでいた時代もありましたからね。
そして二郎の話をしているうちに、髭系スープが完成してしまったようです。
もちろん空腹なのは間違いないのですが、心から喜べないのはこのブログの読者ならば理解してくれると思います。
ただ圧力鍋のおかげで焦げた様子も一切なく、匂いも心地いい豚骨らしい動物臭を醸し出していました。
これは少し期待をしても良いのかも知れませんね。
何度裏切られようが、結局私は髭系ラーメンのファンなのです。
容器へ丁寧に自家製のカエシを注いでいく髭茶髪さん。
ですがいつものような覇気がないように思えました。
やはり野良猫に食われた鶏油とチャーシューのショックを引きずっているのでしょう。
麺上げにも全く躍動感がありませんし、それどころかもはや平ザルですらなくなっていました。
「鶏油のない髭系なんて髭系じゃない…」
小さな声でそうボヤキながら暗い表情で麺を器へと流し込んでいきます。
しかしもう完成は間近。
もはや気持ちを切り替えるしかありません。
チャーシューの代わりに焼いた豚バラを乗せ、青菜、海苔、味玉の家系王道トッピングを乗せれば2017年ラストとなる、、、
髭系ねぶりラーメンの完成です!
やはり鶏油がない分、スープに金色感がありませんね。
しかし匂いは決して悪くなく、むしろとても食欲をそそる匂いです。
それでは、成功でも失敗でも今年最後となる髭系ねぶりラーメン…
美味しく頂くとしましょう。
いっただっきまーーす♪
…おや?
……マジかよ…
普通に旨いじゃん!!!
若干の脂っぽさと豚骨の弱さは否定できませんが、間違いなく言えるのは毒素は一切感じられないということ!
生ゴミソラーメンや発ガン性ラーメンや汚物系ガラコラーメン…
これまで数々の毒物を飲まされてきた私にとってはむしろそこが一番重要なのです。
それどころかこの髭系ラーメンは、美味しいと言っても過言ではない出来栄えに仕上がっていました。
初めて髭系ねぶりラーメンを食べたそうパパさんも大絶賛!
「これ凄く美味しい!」
「俺、この味大好きなんだけど!」
そう言いながら、、、
まさかの完飲!
空っぽの器はラーメン店主にとって一番のご褒美。
髭茶髪さんは夢にまで見たその喜びを手にすることに成功したのです。
しかしそれと同時に、、
「鶏油…要らなくね?」
という疑念が生まれたのも事実です。
もちろん鶏油を極めなければ家系とは呼べませんから、どうしていくかは今後の重要な課題となりそうです。
さらに言わせてもらえば、やはりこの美味しさの裏には圧力鍋のチカラも大きかったと思います。
なのでこの一杯に髭茶髪さんの魂が宿っていたかと聞かれれば、きっと私はNOと答えるでしょう。
厳しいようですが、それが私のねぶり精神なのです。
しかしこれまで悪魔しか食べないラーメンしか作れなかった髭茶髪さんにとっては、この一杯でやっとスタートラインに立てたのも事実。
何はともあれ、まずは美味しい髭系ねぶりラーメンを作ってくれた髭茶髪さんに素直にご馳走様と言いたいと思います♪
これからがスタート…
共に我々のゴールを目指して精進していきましょう!
その後、今年最後の一杯をゆっくりと食べ終えた髭茶髪さんはゆっくりと腰を上げ、、、
まんざらでもない表情を浮かべながら車の中へ消えていきました。
そして翌日。
我々3人は朝食も作らず、手軽にコーヒーだけを飲んだ後、早々にキャンプ場を後にし、、、
我々が愛してやまない杉田家千葉店で本物の家系ラーメンを堪能してからそれぞれ帰路に着きました。
そして帰り際、本人の意思を尊重した上で、ねぶり会にそうパパさんの加入も正式に決定!
前向きな応援で髭茶髪さんを支える、髭茶髪さんのメンタル担当として彼が必要不可欠だからです。
これで強力5人体制となったねぶり会。
この5人で、2018年も最高のねぶりラーメンを追い求めていきたいと思います。
そしていつの日か我々が追い求める最高の髭系ねぶりラーメンが完成した時、その招待状を受け取るのは、、、
あなたかも知れません。
完。
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