当日は朝から猛暑の予感を感じさせる暑さ。
Tシャツ4枚、パンツ(ボクサータイプ)1枚、靴下2枚、もしもの時用の予備パンツ(ブリーフタイプ)1枚…
入念な着替えの準備と猛烈な暑さに耐える覚悟を決めて灼熱キャンプへと向かいました。
3連休という事もあり、大混みを予想しながら森のまきばオートキャンプ場に到着したのですが、場内は思ったよりもガラ空き状態。
さすがにこんな猛暑、日除けのない森まきをキャンプ地候補から外すキャンパーも多かったのでしょう。
とはいえ、木陰などの好ポジションはすべて先客で埋まっている状態。
髭茶髪さんより一足先に到着した私は、悩んだ末にトイレに近い場所を選択しました。
その後、10分程遅れて髭茶髪さんも到着。
一刻も早くギラギラ炎天下から逃れるため、汗だくになりながらオープンタープを完成させます。
今回の我々の住処はムササビウイング´焚き火´とモンベルタープ。
モンベルタープの下は荷物置き場+髭茶髪さん専用の調理場になっています。
いや、調理場というよりもこれから壮絶な戦いが繰り広げられる戦場とでも言いましょうか。
設営が完了したらお待ちかねの乾杯♪
この日、猛暑で良かった点は最初のビールが旨かったことだけです。
ちなみに今回は髭茶髪さん主催による正規の第二回ねぶり会。
※ねぶり会とは髭茶髪さんが作ったラーメンを食べる会のこと。
しかし様々な諸事情や不運も重なり、気づけば参加者は私だけでした。
それでも髭茶髪さんの予定に一切の変更はありません。
これまでの集大成と意気込む髭茶髪さんは、設営が終わると早速ラーメンの仕込みを開始しました。
彼がこれまで作ってきた髭ラーメンは、究極のサッポロ一番ラーメンや捨てる食材だけで作る0円ラーメンなど、あくまで軽いノリでのラーメン作りだったのですが、集大成と豪語するだけあり今回は違うようです。
粉末スープなども一切使わない100%髭オリジナル。
まさかのゲンコツの登場に、彼の本気度を伺わせます。
ゴツッ!バキッ!ゴツッ!ゴツッ…ゴツッ…ゴリ…
鈍い音を響かせながら、硬いゲンコツをハンマーで叩き割り続ける髭茶髪さん。
周囲は楽しそうなファミリーキャンパーで溢れ返っています。
本格的な豚骨スープを予感させる仕込みが完了。
このあと数時間かけて煮込み続けるようです。
もちろん、主役のねぶり手羽も忘れてはいません。
向かって右側で焼いた手羽中を真ん中に置き、ねぶり終えた食いカスを左の鍋に放り込む。
この一連の流れを効率よくコンパクトにしたこの動線を、私はねぶりラインと呼んでいます。
そんなねぶりラインで作成されたねぶり骨と市販の鶏ガラを加えた鶏ガラスープの仕込みも完成。
こちらも豚骨スープ同様、これから長時間煮込むようです。
豚骨と鶏ガラのWスープに、我々のねぶり骨を加えた奇跡のトリプルスープはこうやって生み出されているのです。
先ほど紹介したモンベルタープの調理場は、髭系ラーメンの為に設置されたスペース。
「おいしくなーれ♪ おいしくなーれ♪」
髭茶髪さんのおまじないと共に、長時間に及ぶ煮込みが開始されました。
仕込みが終わり、一仕事終えた様子の髭茶髪さん。
額から流れ落ちる滝のような汗が、仕込みの大変さを物語っていました。
何回も言いますが、ここはキャンプ場です。
私は奥さんから差し入れの生姜焼きで髭茶髪さんを労います。
すると髭茶髪さんが生姜焼きのお礼に、お孫さんの動画を見せてくれました。
あーん、かわいい~♪
以前見せてもらった写真よりだいぶ大きくなっており、スクスク成長しているようです(#^^#)
「あ~かわい~、かわいいなぁ~」
「なんでこんなにかわいーんだろー」
生まれた当初はもっと硬派だった気がした髭茶髪さんでしたが、いつの間にか孫にデロデロのじいじに変貌していました(笑)
やはりそれだけ可愛いのでしょう。
しかしそんな合間でも煮込み具合の確認に抜かりはありません。
広々とした森まきのど真ん中でラーメンを作り続ける髭茶髪さん、、
その後姿はもはやキャンパーではなく、ラーメンショップの雇われ店長にしか見えませんでした。
多くのファミリーキャンパーさん達に紛れながら、そんな髭茶髪さんのラーメン作りは続きます。
我々にとって、さすがにこの猛暑での車中泊は死を意味するので日が暮れてから幕を張りました。
少しつ灼熱から解放されていく日暮れ、、
私たちの顔にも笑顔が戻り始めます。
そんな髭茶髪さんの手元を見ると、ラーメンのカエシ(醤油ダレ)が煮込まれています。
日が暮れようとも髭茶髪さんのラーメン作りに終わりはないようです。
煮込み時間が6時間は経過した豚骨スープの匂いを確認する髭茶髪さん。
漂ってくる動物系の匂いは、家系の店内に入った瞬間に感じるあの匂い…
家系を心から愛する、まさに髭茶髪さんが求めていた匂いでした。
期待が膨らみます。
そして2人で横浜家系総本山である吉村家のドキュメント番組をYou Tubeで鑑賞。
もはやムードはラーメン一色です。
吉村家と言えば、云わずと知れた家系の頂点であり生みの親。
家系LOVEな髭茶髪さんは、このドキュメント番組を数えきれないほど観てきたと語ります。
動画を観ながら家系直系の流れを丁寧に教えてくれる髭茶髪さん。
全国に家系を名乗るラーメンは偽物も含めて数あれど、吉村家直系は全国に数店舗しかない。
その中の一店舗である杉田家の千葉支店がピーナッツ国にある。
しかし同じピーナッツ国にある千葉家も劣らないくらいに旨いなど、どちらかと言うと二郎派だった私にとって貴重な話をたくさん聞くことができました。
最近の、麺が100gそこそこなのに千円近い金額を取るラーメン屋が当たり前になりつつある今の時代、系統は違えど家系も二郎も大事な庶民の味方なのは間違いありません。
もちろんそんな動画の最中だってスープの確認に怠りはありません。
熱く話している途中でも、スープをかきまぜに腰を上げます。
そんな行動を繰り返し煮込み続けること約8時間、、、
見事に乳化された豚骨スープがついに完成したようです!
せめてもの気持ちでトッピング担当を申し出た私も準備を始めます。
しかし髭茶髪さんの意気込みに反し、私は手作りではなく生協で焼豚を買ってきてしまいました。
まさかここまで髭茶髪さんが本気だとは思ってなかったからです(笑)
髭茶髪さんは最後の仕上げに入ります。
丁寧に濾した鶏ガラねぶりスープと豚骨スープを合わせてトリプルスープを作ります。
そこへ茹で上げた麺を手際よく絡ませ、最後に私が用意したトッピングをおけば、およそ10時間にも及ぶ調理時間かけた渾身の一杯、、、
髭系ねぶりラーメンの完成です!!!
鶏油の薄い層の下にある乳化された動物系スープと、そこに合わさる醤油ダレ…
そして漂ってくるパンチある豚骨の香り…
これまで数々のラーメン店を食べ歩いてきた私でも、これは期待せずにはいられない見栄えに仕上がっています。
麺をリフトアップすると、現れたのはやはり家系には外すことができない太麺ストレート。
髭茶髪さんの家系への愛を感じます。
10時間にも及んだラーメン作りもついにフィナーレ。
髭系の集大成に相応しい一杯が完成しました♪
サイドメニューのチャーシュー丼も完成したところで、、、
いっただっきま~す♪
やべぇ…
このラーメン…
クソまじいぃぃ!!!www
私がこれまで食べてきたラーメンの中でも断トツの不味さ。
不味いと言うより、もはやこれはラーメンの姿をした毒です!
スープを一口飲むだけで、舌を痺らせ麻痺させるほどの凶悪な苦みが口内に襲い掛かってきます。
髭茶髪さんは総費用5千円と10時間という膨大な時間をかけて悪魔のラーメンを作ってしまったようです。
原因はきっと煮込んでいたカエシか豚骨スープを焦がしてしまったのでしょう。
思い起こすと、確かに酒と話に夢中になり、一度だけ空焚きに状態にしてしまっていた時がありました。
もしかしたら原因はそこだったかも知れません。
しかし折角髭茶髪さんが10時間もかけて作ってくれた髭系ラーメン…
不味いなんて本人に言えるわけがありません…
しかし向かいで食べている髭茶髪の様子も明らかに変でした。
ズルズルズル…(麺をすする音)
グフォッ…
ズルズルズル…(麺をすする音)
ゲフォッ…
今にも吐血しそうな表情をしながら、無理やり麺を口に流し込んでいるようでした。
それでも食べるのを止めようとしない髭茶髪さん。
きっとこの現実を受け入れられないのでしょう。
しかしこのまま食べ続けたら本当に命の危険があると判断し、「ごめん髭ちゃん…クソまずいからもう食べるの止めよう」と正直に言わざるを得ませんでした。
そして現実を受け入れた髭茶髪さんは荒れました(笑)
「こんな発ガン性ラーメン食えるわけねーだろ!」
「俺の10時間を返せ!俺の5千円を返してくれ!」
「ヤメロ!今の俺を撮るんじゃない!」
その後、次第に冷静になり笑顔を見せてはくれましたが、そのショックは計り知れないものだったでしょう。
焦がしさえしなければ間違いなく旨かったであろう髭系ねぶりラーメン。
一瞬の気の緩みが招いた最悪の結末。
キャンプという楽しい時間の中でラーメンを作る難しさを改めて思い知らされた1日でした。
その後、髭茶髪さんは席を立ち、、、
力なくテントの中へと消えていきました。
翌朝。
テーブルの上に置かれたままの髭系ねぶりラーメンを見ただけで吐き気がします。
そんな私の朝食は、TKG(たまごかけご飯)目玉焼き添え。
たまご好きには堪らない一品で自分の胃袋を慰めます。
髭茶髪さんの朝食は、同じくTKGの海苔マシマシ。
明らかに失敗に終わった昨日の髭系ねぶりラーメンを引きずっています(笑)
その後、午後から予定の合った私に合わせる形で10時頃に撤収。
私達2人だけで行われた第二回ねぶり会は幕を閉じました。
残念ながら髭系ラーメンは大失敗という結果になってしまいましたが、このまま終わる髭茶髪さんではありません。
彼の心の傷が癒えた頃、、
きっと第三回ねぶり会が開かれることでしょう。
ラーメンへの愛、家系への愛がある限り、髭茶髪さんは何度でも起き上がり、そしてゲンコツを割り始めます。
そしてその時、その招待メールを受け取るのは、、、
あなたかも知れません。
完。
あなたにおススメの記事